緑内障
どういう病気ですか?
緑内障は視神経が陥没し、視野が欠けていく病気です。眼球は強膜という厚い線維の壁に守られています。網膜はデジタルカメラのような構造をしており、光が電気信号に転換され、その情報が視神経となって、眼球壁を貫き、脳へつながっています。視神経が強膜を貫くところを、視神経乳頭と言い、強膜は篩(ふるい)のような構造をしています。そのため、ここでは眼球壁が弱くなっています。目の内部は房水に満たされて、眼圧で眼球壁を内部から支えています。野球ボールが一部、薄くなるとそこだけが局所的に突出します。眼球壁も同じ理由で篩状板(視神経が通るフルイ)が、目の内部から見ると陥凹します。これを視神経乳頭陥凹といいます。緑内障では、この陥凹が拡大し、深くなることで視神経の束を圧迫し、視野が欠けてくるのです。目の水圧(眼圧)が高ければ、視神経乳頭陥凹は増強します。しかし、緑内障の80%は、正常眼圧(10~21mmHg)であることが、2000~2002年に行われた多治見スタディであきらかになりました。これを正常眼圧緑内障といいます。これらの人は眼圧が正常域でも篩状板が脆弱であったことになります。
どんな症状がありますか?
ほとんどの緑内障は自覚症状がありません。健診や人間ドックで、視神経乳頭の陥凹拡大を指摘されて受診します。視野狭窄は相当進まないと、自覚できません。視野欠損部は、網膜剥離のように黒く見えるのではなく、その世界がなくなっているので自覚が難しいのです。一方、急性緑内障では、急激な眼圧の上昇により、眼痛、充血、霧視が起こります。この場合は眼圧を下げる緊急手術が必要になります。
どんな治療をしますか?
治療の目的は眼圧を下げることです。正常眼圧でも、さらに眼圧を下げます。失った視野は回復しません。治療の目的は眼圧を下げ、視野欠損の進行を阻止することです。現在はさまざまな点眼薬が開発され、点眼だけで多くの場合、眼圧のコントロールができるようになりました。点眼による治療は一生、続けなければなりません。眼圧が点眼薬でコントロールできない場合や、視野の欠損が進行する場合は手術になります。